沖縄には教育施設を兼ねた海釣り公園が必要です!沖縄初の海釣り公園設置に向けて
四方を海に囲まれた沖縄県。
他の都道府県に比べ釣り人口が多いうえ、観光立県でもあるため、釣りを体験したい観光客も潜在的に多くいるものと思います。しかしながら、他府県のような海釣り公園(海釣り施設がありません)
南国釣りコでは、沖縄県民の親水と観光産業への寄与、そして釣りに伴う諸問題解決のため、釣り人への学習施設を兼ねた沖縄の海釣り公園の設置を提唱します。

沖縄県の釣りの実態
島しょ県であり四方を海に囲まれた沖縄。県民にとって身近な存在が海であり、釣りやマリンスポーツの場として親しまれてきました。

「レジャー白書2020」によると沖縄の釣り人口は県民の約13.6%とされ、全国平均の6.7%(東京都4.0%)に比べると圧倒的でもあります(※調査年によっては16%台の年もある。また10%前後が「釣りをしてみたい」という調査も)。
釣り人口は90年代半ばから減少傾向にありますが、近年は新型コロナウイルス蔓延によりソーシャルディスタンスがとれる遊びとして人気が高まり、人口増となっています。

一方、釣りに起因するトラブルも多く発生し、これらの問題により釣り禁止を明示する漁港等も増えています。

漁港等に関しては漁業者(漁師)等が使用する専用施設であると同時に、税金を投入して作られた公共施設でもあることから、管理者側としては不特定多数の人に利用させたくない反面、県民等の親水の観点から釣りを黙認している経緯があります。
釣り禁止明示の引き金となっている漁業者や管理者とのトラブルは、水難事故、ゴミの放置、船舶への乗り込み、漁具の盗難、違法駐車などがあります。もちろんすべてが釣り人に起因するものとは言い難いのですが、残念ながら釣り人に起因するものも間違いなくあります。

教育施設を兼ねた海釣り公園の必要性
釣りに関するルールに関しては漁業法(漁業権関連など)一部が明確化されているものの、救命胴衣(ライフジャケットの着用)など不明確な部分も多く、基本的に個人のモラルにゆだねられています。
これらの問題解決、周知のためにのため、釣りに関する団体や釣りクラブなどが取り組みや働きかけを行っていますが、規模が小さいため周知徹底が不十分な状況とも言えます。※参考:南国釣りコで実施している啓発活動。釣り漫画による啓発
できるだけ多くの釣り人に対し(できればすべての釣り人に)、釣りを楽しむために必要なルール、マナーを教育する必要がありますが、これらを教育する機会がない事が最大の問題ではないでしょうか。
これらを解決するために、他府県に設置されているような海釣り公園施設を作り、県民の親水や観光産業へ活用するとともに、釣り人への教育施設としての役割を持たせる事が重要だと考えます。

総合的な情報発信拠点として
海釣り公園は利用者に釣りを楽しんでいただく親水、観光施設、また、釣り人への安全やマナー、ルールに関する教育施設にとどまらない情報発信拠点としての活用も見込めます。
たとえば採ってはいけない動植物や使ってはいけない道具に関しては、漁業法(漁業調整規則)や沖縄県希少野生動物保護条例など複数の関係法令が関わります。また、釣りをするうえで外来種問題などが関わることもあり、野鳥への被害対策なども必要となっています。
これらについては、それぞれを所管する役所が広報を行っている状況で、広報は行われているけれど、効果的に伝わっていない可能性もあります。
海釣り公園はこれら複数の機関と連携・統合した情報発信が可能となり、広報施設としても活用できます。
設置と運用に関するアイディア
・初回に5~10分程度の教育用VTRを視聴したうえで、施設の利用パスを発行します(必要に応じて簡易テストを実施)。これにより釣り人へルール・マナーの啓発を行い、各地の釣り場にも知識を持ち帰ってもらうことで問題解決につなげる事ができます。年に1度程度パスを切り替えるなどして、定期的な普及教育や、最新情報(漁業権の変更点など)をアップデートすることも可能です。
・施設内ではライフジャケット着用。各地で発生している落水死亡事故はライフジャケットにより低減できますが、着用率が低いのが現状です。施設内での義務付け(及び教育用VTRの視聴)により、ライフジャケットの重要性の教育、普及や着用率向上につなげる事ができます。
・一部の釣り(ルアー釣りなど)では、カエシのないバーブレスフックを使用。カエシのない釣り針を使用することで、もし釣り針がかかってしまうなどの事故が発生してもすぐに抜けるため、大きな怪我につながりにくいメリットもあります。なお、カエシがなくても糸を張っていれば、魚がヒットしても簡単には外れません(餌は外れやすくなります)
・海釣り公園は1か所に限らず、沖縄県内の主要地域に分散して設置することも考えられます。

※釣り人を押し込める施設となってはいけない
釣り人を押し込める施設となってはいけない理由について、下記のとおり記します。
・仮に長さ100mの桟橋型海釣り公園を設置した場合、両サイドに3m間隔で釣り人が入ると仮定して、最大でも70名程度の収容人数と予想されます(安全管理上、一定程度のクリアランスが必要なため)。海釣り公園で約20万人と推定されている沖縄の釣り人口、さらに新規の釣り人や観光客等すべてを受け入れることは難しいと考えられます。
・沖縄の釣りの魅力の一つに、魚種の多さ(多様性)があります。海域により釣れる魚種が違うため、海釣り公園に釣り人を押し込めてしまうことで、沖縄の釣りの魅力が損なわれてしまいます。
海釣り公園が釣り人を押し込めるための施設とならないためにも、釣り人への教育施設の役割が重要ではないかと考えます。
想定される課題
・漁業者や漁協との調整(周辺海域の漁業権、釣り公園や他の釣り場の運用について)
・予算関連
・外国人の釣りについて(外国人漁業の規制に関する法律:令和二年十二月一日)
・運営方法(現場の運営や指定管理)
・台風や塩害に強い構造、設置場所の検討
など