沖縄初の海釣り公園建設に向けて:インスタライブ対談【要旨】 沖縄県知事選挙立候補予定者サキマ淳さん
本対談は2022年8月20日21:00~配信された、沖縄県知事選挙立候補予定候補者のサキマ淳さんと、南国釣りコ管理人モソとのインスタライブ配信の要旨をまとめたものです。4年前の県知事選挙でも「海釣り公園」を公約のひとつに掲げていたサキマ淳さんに、沖縄の釣りの楽しさや抱えている問題、その解決のための情発信源としての海釣り公園の必要性について、ライブ配信の中でプレゼンさせていただきました。(※要旨のため発言内容は前後し、また、再構成しています。)


対談者
サキマ淳(淳)

昭和39年8月9日生まれ宜野湾市真志喜出身
宜野湾市議会議員(2期)
県議会議員(2期)
第16代宜野湾市長を務めた
普天間高校野球部
大学では空手部主将
(※サキマ淳公式サイトよりhttps://sakima-atsushi.com/)
モソ(モ)

南国釣りコ管理人。釣師、ライター、漫画家、ルアービルダー等として活動。元釣り船船長。
ものづくりが好きで、作れそうなものは何でも作る。
沖縄県河川愛護団体安里川ファンクラブ代表。著書に「図解と写真でわかる沖縄のルアーフィッシング」「ラッキーキャッツルアーフィッシングスクール」「仲西ヘーイと ひよっこ釣りガール」
釣りにまつわる組織あれこれ
淳:モソさんが所属する安里川ファンクラブとはどのような団体ですか?
モ:沖縄県に登録し清掃活動をしている河川愛護団体です。基本的に釣り仲間で組織しています。川の浄化活動や釣りのルール・マナー啓発や釣り教室、勉強会の開催などを行っています。
淳:海では釣りはしないんですか?
モ:海釣りも好きですが川が好きですね。
淳:メンバーは何名くらいいるんでしょうか?
モ:清掃活動は毎回20名ほど集まります。
淳:釣りといえば、私は日本釣振興会沖縄県支部の顧問でもありますよ。
モ:伺っています。日釣振は釣りのマナーアップや清掃、稚魚放流事業を行っていますよね(※モソも個人会員)。

モソの釣り歴などの話
淳:釣師としての活動はどのような(モソの宣材パンフレットを見ながら)
モ:たとえば安里川にはサメが生息していて、2000年ごろに新聞に掲載されてから、たびたびテレビの取材を受けています。ナニコレ珍百景にも登録されました。
淳:有名人じゃないですか(笑)
モ:ちらっと出たりする程度で・・・ちなみに私が釣った魚で一番でかいのがこの魚です。

淳:ガーラですか?何キロですか?
モ:残念ながら大きさ計ってないんですよ…25~30kgくらいです。
淳:ゲットするまでに何分くらいで?相当腕の力も必要ですよね?
モ:時間は5分くらいでした。原付バイクをひっかけた感じで、かなりきつかったです。(リリースするうえで)こういう魚の持ち方はダメなんですが、わかっていても頭も回らない状態でした。
淳:死闘の顔してますね。ちなみに釣ったのはいつ頃?
モ:3年ほど前ですね。釣った場所は国際通り付近で、大シーサーの後ろの橋から引きずり出しました(笑)
淳:えぇ?こんだけ大きな魚があの川に?!
モ:(国際通り周辺の安里川は)クロダイなどの魚も多くて、最近も付近で新種のクロダイ(イワツキクロダイ)の国内2例目が、友人により釣られました。この魚は論文になりました。
淳:へぇー!珍しい人ですね(笑)
モ:よく変わっていると言われます(ニヤリ)
淳:持参いただいたルアーは?

モ:これは先ほどのロウニンアジを釣るために自作したルアーです。さすがに売っている大きさじゃないので自作になりました。
淳:どのくらいの大物を想定しているんですか?
モ:すごく口が開く魚で、25kg級の個体ならこれを飲み込むので、このサイズでも喰うだろうなと。売ってないので自作しました。
淳:最初から作るんですか?ご自身一人で?
モ:板切れを4~5時間くらい削って作りました。小さいルアーなら15分くらいで削れます。
淳:もう試しました?釣果は?
モ:泳ぎはよかったのですが、まだ釣れてないですね。これを飲むサイズの魚に出会うまでがまた大変で。ちなみにルアー作りだけではなく出版もしています。沖縄の妖怪をモチーフにした釣り漫画や、ルアー釣りの書籍を計5冊出しました。

淳:これもご自身で??出版されているということは購入も?
モ:一部在庫切れしているので釣具店では取り扱いがないですが、ジュンク堂2F沖縄本コーナーで扱ってもらっている分はまだ在庫があると思います。
淳:(表紙を見て)こういう釣師、絶対いないですよね(笑)
モ:猫耳のメイドが好きすぎてこうなっちゃったんですが(一同笑)、釣りの話がガチすぎるので一部界隈では「(萌え漫画を装った)教科書」などと呼ばれてます。

淳:釣りの素人が書いていない漫画というわけですね。漫画的にもレベル高いですよ。
モ:ありがとうございます!3巻まで描いた「ラッキーキャッツルアーフィッシングスクール」の絵や構成では通用しないので、クオリティ向上に向けた工夫をしつつ、新作の「仲西ヘーイと ひよっこ釣りガール」を執筆中です。これを出版社に売り込みし、どうにかアニメ化して沖縄にアニメ聖地を作り(つつ、釣りの問題解決にもつなげ)たいなとも考えています。

「仲西ヘーイ」では沖縄の実風景も登場させるなどして、作中の農連市場でサメを釣る話も、実際に農連市場でサメを釣って描きました。
淳:農連市場で?ホントに?
モ:ちゃんと釣った動画もあります。水が綺麗になって海の魚が入っています。
淳:ちなみに印税は?(笑)
モ:…もうちょっと儲かったらいいですが(笑)
淳:これは聞かなければよかった(笑)しかし、営業用のパンフレットを作るなどして戦略的に活動していますね。さて、ここから本題を。
沖縄には海釣り公園がない
モ:日釣振沖縄県支部顧問でもある佐喜眞さんですが、日釣振沖縄県支部の会長から「釣り公園を作ろうとしたことがある」と伺いました。私も絶対必要だと考えています。今日はこの話をさせていただきたいです。
淳:いいですね。モソさんは神奈川の釣り公園に行かれたそうですが、私も福岡の釣り公園に言った事あります。島にも行ったし、釣りができる場所などもめぐりました。県議の時と宜野湾市長の時なので8年、もっと前かなぁ・・・。
モ:四方を海に囲まれている沖縄は、他府県に比べて釣り人口が多いと言われます。レジャー白書によると東京では釣り人が人口の4%台いて、沖縄では釣りを楽しんでいる人が13~16%(調査年によりばらつきあり)、参加希望率が10%ほどいるそうです。それほど釣りが身近なレジャーという事です。


(注:釣り人口は減少中だが、ソーシャルディスタンスのとれる遊びとして再び人気が出ている。)
また、県外に比べると魚の種類がめちゃくちゃ多い(多様性)も魅力の一つだと思います。それなのに、他府県のような海釣り公園がありません。
視聴者:海釣り公園を作るならどこがモデルになりそうですか?
モ:私は県外7箇所の釣り公園を廻りましたが、特に横浜市の本牧海釣り施設と、千葉県市原市のオリジナルメーカー海釣り施設の2箇所、釣り桟橋が設置されている方式がベストかと思います。


淳:福岡は行ったことあります?福岡の釣り公園も、沖に300mくらいの桟橋が伸びている感じでした。
モ:そういう構造になるかと思います。
沖縄でも海釣り公園が必要な理由
モ:あと、私が釣り公園に必要な機能と考えているのは、釣り人に安全管理やマナーを教える仕組みですね。
淳:他の釣り公園でも、こうした啓発を行っていますね。
モ:私が見た施設の場合は、チケットを購入したらすぐに利用でき、必要に応じて巡回スタッフが指導する形式でした。
イメージしているのは、初回の利用者は5分くらいの教育啓発用のビデオを見てもらたうえで、利用パスが発行される感じです。

教育用ビデオの内容は、ゴミはポイ捨てしないとか、安全対策に関する啓発…たとえばライフジャケットを着るなど当たり前のことなのですが、これができていなくて、あちこちで釣り禁止になっている現状があります。
視聴者:最近も事故があったので、安全対策はマストだと思います。
モ:そうですね。ライフジャケット以外にも釣り竿への落雷など、注意しないといけないことは沢山あります。カーボンの釣り竿は帯電しやすく、悪天候の時はブーンと不気味な音を立てることがありますよ。
視聴者:兄が無類の釣り好きですが、悪天候でも釣りに行くことがあるようです。釣り公園では悪天候時は物理的な閉鎖などもあるのでしょうか。
モ:それはありますね。釣り船にも風速や波高などの出航基準がありますので、そういう仕組みがあると思います。
視聴者:釣りに関するマナー啓発は押しつけがましくなると逃げられるので、楽しく学べる仕組みが必要ですね。
モ:そうなんですよ。それで漫画もアリかなと思って、釣りの漫画描くようになりました。
あと、私は豊見城市にある環境省漫湖水鳥・湿地センターでボランティアをさせてもらっていて、野鳥に釣り糸がかかるなどした時のレスキューにも参加したことがあります。
このような問題の事や、そうならないための工夫は釣り人に広く知ってほしいのですが、縦割り行政的になりがちが情報を統合して発信できる拠点になるなら、なお良いと思います。
- (注釈:野鳥は環境省や県自然保護課、釣りに関しては恐らく沖縄県水産課、事故や安全は第十一管区海上保安本部など。)
淳:四方を海に囲まれた沖縄、初心者も経験者も老若男女問わず楽しんで学べる施設があれば、それなりの効果がありそうですね。稚魚放流のような育てる釣りもできそうですし、家族の思い出の場所にもなりそう。
モ:正直な話をすると、釣りは環境負荷をかける遊びでもあります。そこで釣りをとりあげてしまうと、身近な自然に興味を持たない人も増えてしまう恐れもあります。釣り人が自然に関心を向けることで、SDGs的な繋がりができるといいなと思うのです。
作るならどこに?
視聴者:船舶の航路を考えて釣り公園を設置することになると思いますが、沖縄県内に釣り公園を作るならば、どのあたりが想定されていますが?
モ:台風等がある事を考えると、まずは入り江になっている場所ですね(※カーチベーやミーニシなど強い季節風が吹く沖縄では、外海に面した海は以外と高波になりやすい)。
入り江になっている海としては3箇所を想定していて那覇港(注:那覇ふ頭ではない)、名護湾のどこか、金武湾のどこかになるかと思います。
交通の便がよく利用しやすいのは、那覇市の三重城かと思います。既に駐車場もあり、現時点で人気の釣りポイントでもあります。航路の内側でも適度な水深があり、濁りが少ないのもいいですね。

淳:水深はどのくらいありそうですか?魚も多い?どのくらいの魚が釣れそうですか。
モ:15mくらいですね。グルクンなどもよく釣れていますし、スズメダイなどの熱帯魚系も多いですね。大物ではロウニンアジもいます。
淳:熱帯魚は食べられないのでは(笑)
モ:実は美味しいですよ。ヒカー(スズメダイ)はマース煮で食べると美味です。

そもそも、釣りをするには何が必要?
視聴者:初心者でもやりやすい釣りはありますか?また、必要な道具は。
モ:グルクン釣りのサビキ釣りみたいに針が多い釣りでは仕掛けが絡む事もあるので、最初はシンプルな仕掛けの釣りがお勧めですね。1本の針で餌を付けて護岸から垂らすだけでも結構釣れますから。
あと、針が刺さる事故がこわいので、針のカエシをペンチで潰しておくと安心です。
淳:慣れてる人と一緒に行くのが一番ですね。魚がいないところで釣り糸を垂れても意味がないし…。
モ:そうですね。そういう意味でも釣り公園があるといいですね。あと、道具を揃えるなら、是非ともライフジャケットも購入いただけるといいですね。浮力材タイプは子供用なら2千円くらいから購入できます(※注釈:暑いので熱中症対策や休憩は十分に)。

淳:竿やリール、釣り針などは釣具屋さんで相談して色々揃えるといいわけですね。
モ:そうですね。釣具屋さんで初心者であることを伝えると、適切に選んでくれると思います。
何を釣りたいか、どのあたりで釣りをしたいかある程度絞れているなら、その旨伝えるとなおよいです。いきなりカジキ釣りたいとなると難しいですが(笑)
視聴者:5~6千円くらいで揃いそうですね。
モ:来週、私は湿地センター百円ショップで購入できる竹釣竿を使った釣り講座の講師をさせていただく予定です。場所によりますが、こんな道具でも十分釣れるんですよ。
淳:私も昔、そういうシンプルな釣りをやったような。受講者は埋まっていますか?
モ:そうなんです。わりとすぐに埋まったそうです。
釣り公園を作るうえでの課題
視聴者:観光産業にも釣り公園を作ってほしいと思いますが、釣り公園を作るうえでの課題はありますか?
モ:観光、地域の親水の場所、釣り人の教育の場として役立つ施設になると思いますが、もちろん課題もあります。
インバウンド(外国人観光客)への対応と、施設設置に伴う漁業補償、あとは予算捻出が考えられます。特に観光面ではインバウンドに期待する声もあるかと思いますが、「外国人漁業の規制に関する法律」は、ちょっとしたネックになる可能性がありますね。
この法律は排他的経済水域内での外国漁船を取りしまる法律で、外国船では撒き餌の使用など一部の漁法が規制されていて、遊漁(釣り)にも適用される可能性があるようなんです。
淳:つまり外国人は釣り公園を利用できないということに?
モ:いえ、撒き餌が使えない可能性があるということだけで、それ以外の釣り方ならば、外国人でも釣りを楽しむ事はできます。この法律が適用されるならば、どう外国人観光客に説明するのか、また、特例的なものは作れるのかという課題はあると思います。
- (注釈:沖縄県内の漁業権設定や釣りなどに関するルールを定める沖縄県漁業調整規則では、以前は一般の撒き餌使用は禁止されていたが、現在は解除されている。現在も東京都など一部都道府県では漁業者以外の撒き餌使用が認められていない場所がある)
モ:ちなみに最近ニュースになった米軍人・軍属の水中銃使用の問題は別の法律(漁業法及び沖縄県漁業調整規則)によるもので、沖縄県内でも日本人でも漁業者しか使えません。
沖縄県水産課パンフレット(PDF)https://www.pref.okinawa.jp/site/norin/suisan/documents/20220712saihorule.pdf
- (※注釈:過去に沖縄県の担当者から説明された記憶では、水中銃のそれ自体が危ないことと、ロープなどでつながっているため獲物に引きずられて事故につながりやすいため禁止されているとのこと)
釣りとモラル、教育の話
モ:沖縄の釣りの現状として、釣り場にゴミを捨てるとか、人の船に乗り込んで釣るという人がいることが問題となって、釣り禁止明示につながっています。
淳:沖に出てしまうということではなく。停泊している船に?
モ:船の持ち主の財産であり、たとえば自分の車やベランダなどに入り込まれるようなものですから。あとは事故(特に落水事故)などの発生なども影響して、沖縄県内の半分以上の漁港が釣り禁止を明示されてしまっています。特に釣り禁止明示は、この5~6年くらいでものすごく増えました。

どうにかくい止めるためにはルール・マナーを教える必要がありますが、それを教える場所がないという事が現在抱えている問題だと思います。
伝える方法はSNSやYoutubeなど色々ありますが、視聴者の方も指摘されているように、ガミガミしているものは敬遠されがちです。同様な理由で釣具屋さんで啓発を行うのはやはり難しいと思います(※注釈:釣具店は万引き被害が多く、監視にも労力を削がれているなどの事情もある)。
淳:一番はゴミを捨てないようにする事ですね。小学校から教えないといけない。ゴミが一杯捨てられていて、拾う人がいる。ルール作りとモラルなんですよね。
モ:ポイ捨て禁止条例を作ってほしいと思うこともあります。
淳:実は一番ポイ捨てされやすいタバコのポイ捨て条例があるのだけど…東京と沖縄の道の違いでもあったり。
モ:私は喫煙者ではないですが、中高生から喫煙していると隠すのが当たり前になっちゃっている感じがあるんです。さすがに未成年喫煙者で吸い殻入れを持っている人はいないでしょうし(笑)釣り大会のなかで清掃活動をしても、帰りに「お疲れ様です!」ってタバコをポイ捨てして行く人がいて本当に驚きます(※最近はさすがに減ったとは思いますが…)。

淳:沖縄はいい自然があるのに、消波ブロックの間にもビーチにもゴミがあったり…持ってきたゴミは持ち帰るという基本的な教育を子どものうちから教えることが重要かなと。罰則とかというよりも、人に迷惑をかけないとか自然を大切にする事を教えると良いんじゃないかな。
モ:ですね。おっしゃるとおりです。釣り公園を利用して、忘れてしまっている大人にも啓発できると良いなと思っています。
淳:楽しむ、魚を知る、ありがたく食べるという事、ゴミを捨てないことを学べるという意味で、沖縄に釣り公園がある事は重要だと思います。
私も4年前の知事選挙で釣り公園を公約にかかげました。四方を海に囲まれた沖縄で、釣りやマリンレジャー海を活用した観光資源にしながら、また、沖縄県民にも親しまれる釣り公園、学べる釣り公園を前向きに検討したいと思います。
モ:是非よろしくお願いします!
(その後、漫画や個人的な釣りの話になったので割愛)
モソの個人的感想
沖縄という場所は独特の自然を有するすばらしい島でもありますが、基地問題や歴史などもかかえており、政治的な意見や思想の衝突が激しい場所でもあると感じます。
釣り公園の設置は行政的にも政治的にも労力が必要な事業であり、特に予算確保の面では強いリーダーシップが必要であると思います。基地問題に傾倒しがちな現県政では、残念ながらこのような事業の展開や進展は見込めないと思います。
様々な課題はあろうかと思いますが、今後の展開やご活躍を期待しています!