Release: 2022/03/24 Update: 2022/03/24

アオサギのレスキューに参加させていただいた話(1)

こんにちは。モソです。

沖縄県豊見城市で目撃されている、釣り糸が絡まったアオサギのレスキューに参加させていただきました。※琉球新報記事

今回、沖縄県のレスキュー(傷病鳥の許可捕獲)に混ぜていただく形となりました。

その体験談をレポートいたします。

【レスキューでも許可がいる?!】

釣り糸が絡まった痛々しい姿の報道に、釣り人としても助けたいと思う人は一定程度いるのではないかと思います。

しかしながら、アオサギは愛玩動物(ペット)ではなく野生の鳥なので「鳥獣法(鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律)」の適用を受けるため、勝手に保護(捕獲)ができないという事情もあります。

鳥獣法では野生生物の保護や狩猟に関するルールを定めていますが、狩猟対象ではないアオサギは、環境大臣または都道府県知事(市町村長)による「許可捕獲」の対象となります。また、無許可で捕獲すると罰則もあります。

希少種や自然保護区内での許可捕獲は環境大臣が、それ以外は都道府県知事が許可権者となりますが、都道府県知事から市町村長に権限を委譲している場合もあるそうです。

なお、緊急性が認められる場合は、鳥獣法上の捕獲許可を得ずともレスキュー可能とする特例もあります。たとえば翼が折れている、衰弱して逃げないなどの緊急性がある状態です。

とはいえ緊急性の有無の判断や、鳥インフルエンザなどの病原体を持っていることもあるのでで、やはり専門機関への通報を優先したほうが良いようです。

傷病鳥が自活している傷病鳥が衰弱している
【例】
飛んで移動している。
一定程度餌を捕食するなど元気な様子。
【例】
事故などで骨折したり血を流している。
衰弱して逃げない、など。
・許可捕獲
環境大臣または都道府県知事の許可が必要
環境大臣(希少種・保護区)
都道府県県知事
(権限を委譲している場合は市町村長)
※沖縄県は都道府県知事
・すみやかに保護(捕獲)可
※ただし、専門機関に判断を仰ぐのが良
※南国釣りコ調べ

今回のアオサギは飛んで移動するので、都道府県知事の許可が必要な「許可捕獲」となるとのことですが、県自体が傷病鳥の(保護のための)捕獲の許可を得ているということ。

このため県の担当者の担当者が主体となり、環境省(別件のためアドバイスのみ)、豊見城市、漫湖水鳥・湿地センター(今回は別件で参加間に合わず)の職員、野鳥の会の方、発見者の方(?)によるのレスキューとなりました。

なお、私モソは漫湖水鳥・湿地センターにて清掃活動やイベントのお手伝いのボランティアスタッフをさせていただいている関係で、今回のレスキューに参加できました。レスキューには想像以上の危険が伴うため、保険の関係もあり誰でも参加というわけにはいかないようです。

【レスキューの道具】

今回のレスキューではネットランチャー(犯人逮捕に使われる道具)やたも網、投網が準備されました。県の職員の方に投網が上手い方がおりました。

なお、鳥獣法で定める狩猟では猟法や使用する道具に規制がありますが(ネットランチャーは×)、許可捕獲に関しては特に制限がありませんので、ネットランチャーも使用できます。

私はリバーGT狙いで使っているデカいたも網を持参。

また、目のいい鳥から身を隠すため、モソの私物のギリースーツも用意(あれ?中に人はいないんじゃなかったっけ)

【課題の抽出】

今回は結果的にアオサギが別のところに飛来して近寄らず、早々に中断することとなりました。

テレビ局や新聞社も取材に来ていたので、モソも映るのではと内心ドキドキしていたのですが……

とはいえ現地では様々な意見交換ができました。

環境省の専門家の方から、「地形的な問題もあり、比較的元気な現状では捕獲がかなり難しいこと」「捕獲時にさらなるダメージを与えてしまうリスク」「クチバシや病原体などの危険性(クチバシで刺しに来るので目の保護が必要)」「釣り人への注意喚起の必要性」「捕獲後はすみやかにタオルなどで包むと暴れにくい」などの助言をいただきました。

また、釣り人代表のつもりで参加させていただいたモソからは「捨てられた釣り糸というよりも、根掛かりした仕掛けに見える」「根掛かりはゼロにできないが減らす事はできる」「しかし、根掛かりの外し方や釣りに関するルールを伝える場所がない。その機会を作る必要がある」という提案をさせていただきました。

ラッキーキャッツルアーフィッシングスクール③より

わりと早い時期に本格的な意見交換が設けられそうな予感があり、レスキューはできなかったものの、大きな収穫がえられたのではないかと思います。

【最後に】

ニュースを見た釣り人やブロガー、youtuberなどがレスキューに繰り出すことも想定されますが、法的な理由により一般の方は基本的に手出しができない状況にあります。もし見かけたらその様子を記録しておくこと、また、関係機関へお伝えいただく事でご協力いただければと思います。

春になり巣立ったばかりの上手く飛べない若い鳥を見た人が「怪我をしている」と勘違いして保護してしまう事があります。近くで親鳥が飛び方や餌の取り方を教えてるのですが、よかれと思って保護したために人に慣れてしまい、野生に戻れなくなってしまうケースがあります。

また、釣り人としては根掛かりを減らす釣り方や根掛かりの外し方、しっかりした仕掛けの結び方なども紹介いただいたり、釣り場で実践していくことで、このような事故を減らすことにつながると思います。

釣り業界では「根掛かりを恐れずに攻める」という事が普通に言われていますが、環境負荷軽減のためにも、根掛かりは恐れたほうが良いと私は思います。

(次回レスキューに続く予定です)