Release: 2019/11/29 Update: 2019/12/01

【速報】沖縄でボーンフィッシュ(ソトイワシ)を釣ったぞ。ただし餌釣り

こんにちは。モソです。

ずっと狙いの魚をついにGETしましたので、速報&分析を紹介したいと思います。個人的に今年餌で釣ったGTと同じくらい嬉しい釣果です。

【ボーンフィッシュという魚】

ボーンフィッシュはフライフィッシングや海外のルアーフィッシングに興味がある方ならご存じでしょう。

一方で、日本(沖縄)の一般的な釣りの対象魚ではない魚です。

和名を「ソトイワシ」と言います。

ソトイワシ

イワシと言ってもイワシの仲間ではなく、分類はソトイワシ目ソトイワシ科に属し、世界に2属4種いるとされています。

イセゴイ(パシフィックターポン)やカライワシ(レディフィッシュ)と混同されがちですが、目から違うの魚のようです(東海大学出版会 「魚の分類の図鑑」を参考とした)

背びれが1つしかなく、ウナギと同じく透明の木の葉のようなレプトケファルス(レプトセファルス)の幼体から成魚となるそうです。

沖縄ではビーチャーグチ(ジャコウネズミのような口の意味と思われる)と呼ばれ、最大80cmほどに達します!

【ボーンフィッシュを釣りたい!】

ボーンフィッシュについては少しかじったフライフィッシングの書籍や、昔のルアーのCMで知っていたので「いつか釣ってみたい」と思っていました。

しかし釣り場と言えばクリスマス島やらハワイやら、フロリダやらキューバやら・・・遠くリッチな外国の話ばかり。

しかしながら、沖縄の本土復帰前に発行された「原色・沖縄の魚」や15年ほど前の地元釣り雑誌FISHING亜熱帯」、WEBサイトなどにボーンフィッシュことソトイワシの情報が掲載されており、沖縄にはいることは間違いないという事がわかります。

しかも某沖縄スプーン作者のお父様(写真家さん)が、過去にフライで釣っているとか。

【証言等を集める】

私が書籍や雑誌などの釣り人から聞いた話をまとめると

・東海岸に多いらしい(釣り雑誌FISHING亜熱帯)。

・中城湾のフカセ釣りでヒットすることがあった。めっちゃ引く(フカセからルアーまでやる人)。

・本島北部の西海岸でも釣れた。美味しかった(釣り好きパン屋のおばちゃん。1997年ごろの話)。

・本島南部西海岸でスプーンにヒットしてばらした(釣り友談)

というわけで、結構あちこちにいることがわかりました。

また、「FISHING亜熱帯」過去記事を参照すると、どうも砂浜というよりも藻場(海草藻場)のまわりにいるのでは?という絞り込みができました。

これはフライフィッシング雑誌の生地などからも、写真で読み解くことができます。

なお、沖縄の海は珊瑚礁のイメージですが、インリーフには藻場(ホンダワラや海草藻場)が多いのです。

【用事ができたので】

那覇市に住む私にとっては、沖縄市以北は遠い場所で、よほど用事がない限り行く場所でもありませんでしたが、今回、お仕事で北部へ行くことととなり、釣り具や餌を積んでいざ北部へ。

なんと今回、通信制高校のヒューマンキャンパス高等学校で漫画の授業をさせていただいたのです。

釣り漫画「ラッキーキャッツルアーフィッシングスクール」の執筆や、公民館、図書館などからの漫画教室での実績が認められたようで嬉しいです。

授業の様子は別のサイトでご紹介するとして、授業が終わるとそそくさと釣りへ。

マングローブ林でさくっとカマスを釣ってから(これも別記事で紹介します)、目星をつけていたポイントで。

今回はようやく購入した(なぜ購入しなかったのか・・・)三脚を添えて、ルアー竿でぶっこみスタイルです。

【釣行時間は1時間未満】

日がだいぶ傾いて、ライトも持っていないので釣行時間1時間もない状況。早速スタートします。

仕掛けはシンプルに中通しオモリとサルカン、ハリスは2号フロロカーボン。

針はキス針では折れたり曲がったりしそうだったので、ケン付きセイゴを使用しました。シーバスだから大丈夫でしょう(たぶん)

そして餌はアオイソメ。沖縄では「島ミミズ」と呼ばれるゴカイの仲間がおり、似ているのはイシゴカイなのですが売り切れとのことで、太目のアオイソメを使うことに。

当日は風が強く、風裏なのにうねりがある状況でした。

仕掛けが波にあおられ、流されたり竿先がアタリのように揺れます。

餌が無くなったりするので、魚はいることは間違いない。

そんな時にヒットした魚がこいつです。

ブルブルと振動する動き・・・ESOか

!?

この口は!!!

ついに来たボーンフィッシュ!!

興奮しすぎてまともに写真撮ってませんw

約15cmと小さく砂まみれですが、稀もないソトイワシです!

【作戦が当たった二匹目】

1匹つったので次も・・・ということで、射程を稼ぐために5号から8号のオモリに付け替えたもう一本のルアーロッドでぶっこみます。

また、針はずれしてしまいましたが、1匹目のボーンフィッシュは、餌が大きすぎて飲み込んでいなかったので、餌を小さくカットして付けることにします。

早速仕掛けを投入し、三脚に立てて、釣ったほうのロッドに餌を付けます。

するとすぐに

ボーン!!!

竿が大きくしなり、三脚が倒れる!!

例のロケットダッシュ来たか!!

ファイト開始!!!

「ブルブルブル」あれ?ESO?

さっきより少し大きいボーンフィッシュ!!

このあと薄暗くなり、アタリもなくなったので納竿となりました。

【沖縄ボーンフィッシュを検証する】

1匹目はかなり流血しており、2匹目は針を飲んでいるので2匹ともキープ。

持ち帰って分析や解剖を行います。

解体したり食べたりすることで、色々なことがわかりますからね。ゲームフィッシュと言えど、食べてみるのは勉強になります。

口はこんな感じで開きます。死後硬直もあるためか、結構硬かったです。

また、口の骨は甲殻類を食べるだけに、頑丈そうな印象でした。ザラザラした歯あり。

全くの別種ですが、ツバメコノシロのような形状です。ソトイワシとツバメコノシロとの大きな違いは背びれの数です。カライワシなど原始的な魚は、背びれが一つのものが多いようです。

腹びれは背びれより後方にあります。このあたりも原始的な魚の特徴だとか。ニシン目の魚も背びれの数、腹びれの位置関係が似ているので、「イワシ」と付く由来なのかもしれません。

頭部は戦闘機のノーズのようで、スピードを生み出しそうです。

目と目の間に「第三の目ではないか?」と釣り人の間で噂されている部分があります。脳みそが透けてっぽいのですが、もしかすると光を感知したりとか何らかの役割があるかもしれません。

【解体してみる】

ギンピカのウロコははがれやすいと言えばはがれやすいですが、イワシ類のようにスルスルと抜けるようでもありません。

ヒイラギやヤイトハタほどではありませんが、ウロコを剥がしたあと、独特のぬめりというか滑りを感じました。ウロコを剥がすと、ホシギスのような模様が現れました。

また、ウロコまたはヌメリから、ミルクのような独特のにおいがしました。

ボーンフィッシュというだけに小骨が多いのかと思いましたが、単に細いだけでニシンに見られるような、身に食い込むような骨があるわけでもありませんでした。

ただ、身がすごいやわらかいので、骨の身離れがよくない=身に骨が混じってしまう、という感じです。

【胃袋と検出されたベイト】

胃袋には一定程度の厚みがあるように感じました。これは甲殻類を食べているためだと思われます。

検出したのは右から「ガザミの足のようなもの(約9mm)」「カニのメガロパ幼生のようなもの(約4mm)」「小さなエビのようなもの」で、いずれも甲殻類のようでした。

右の1つは2匹目の個体、残り2つは1匹目の個体の胃袋から出ています。

甲殻類を食べるタイプなので、胃袋の厚みは多少あるようですが、浮袋は薄いので、藻場で見られるハマフエフキやマトフエフキなどのように、ウニトゲなどを食べるわけではなさそうです。

また、同じ場所で2匹釣れていることや、アタリがあってものらない、餌を上手くとられることもあったので、一度でパクリというタイプではないかもしれません。

もしかすると、群れで行動しつつ、大きな獲物をパーツ事に分解して複数匹で食べているのかも。

【刺身で食べてみた】

身がやわらかくぐちゃぐちゃになってしまいましたが、わずかながら刺身を食してみました。切り方や盛り付けもありますが、あんま美味しくなさそう・・・

遠い親戚のターポンは非常にまずく、私が釣ったものは雑巾風味でしたので、まさかのボーンフィッシュもクソマズイ系では・・・と思ったのですが

・食感は水っぽく骨が混じり最悪。

・味はどの魚の刺身よりも濃く、後味がずっと残る。味そのものは不味くはない。

というものでした。味だけは美味いのです。

昔近所にあった、釣り好きのパン屋のおばちゃんが美味しいと言ってたのもわかります。

また、沖縄方言ではハゼ類はほぼ「イーブー」、カラフルで特徴的なチョウチョウウオの類はほとんど「カーサー」と呼ばれ、食べないものには独立した方言名がつかないというのがあります。

ビーチャーグチという名前が付いているのは、美味しい(まあ喰える)魚であることを意味するのかもしれません。

また、イワシほどではありませんが、ウロコが弱めで身がやわらかいので、大型魚の捕食対象となっていることも考えられます。例のロケットダッシュで逃げるのでしょう。

【フライやルアーで釣れるか?】

釣り友達が過去に南部西海岸にて、スプーンでボーンフィッシュをかけてバラしたことがあるという話をしていたので、恐らくルアーでも狙えるとは思います。

また、腕に覚えのあるフライマンの皆さんならいつかメソッドを開拓してくれるかもしれません。

私が今回餌釣りをしてみてわかったのは

・ポイントが3m以深と深い。海外のような浅瀬がポイントではないっぽい。

浜からの釣りでは、多少遠投が必要(40m以上)

・釣れるサイズが小さく、喰っているものも小さい。餌も小さくした。

・(他魚種かもしれないが)餌を上手くとっていく

ロケットダッシュは竿も倒す。ただし、頭がこっちを向くと引かない(オーバースペックのタックルで釣ると釣り味が極端に悪くなる)

ということでした。

私もルアーで釣るリグを考えてみたので、次回ポイントへ行くことがあれば、ライトルアーで狙ってみようと思います。