沖縄の釣りシーズンは秋。秋におすすめの釣りざっくりまとめ
こんにちは。モソです。
この記事を書いている9月初旬。沖縄はまだ暑い夏まっさかりですが、これから徐々に気温や海水温が下がり、夏バテ気味だった魚の活性が上がるので、本格的釣りシーズンとなります。

沖縄の釣りのハイシーズンは秋なのです。
というわけで、秋の釣りを予習しておきましょう。
【沖縄の秋の気象条件】
日中30度越えの気温が、10月中旬まで続きます。
風向きは夏場は南西から南だったものが→南東寄り→10月ごろから北よりに変化。木陰の風が少しだけ冷たく感じるようになります。
10月初めごろから吹き始める北よりの風を「ミーニシ(新北風)」と言います。この風が吹き始めると、朝晩はかなり涼しく感じるようになります。
余談ですが、沖縄で方角の北のことを「ニシ」と言い、南を「フェー」、東は太陽が上がる「アガリ」、西は太陽が入る「イリ」と言います。
11月ごろからススキの穂が出るようになり、短い秋を感じる季節となり、そのまま沖縄の冬を迎えます。沖縄の冬は気温こそ下がりませんが、風が強いため体感気温が低く感じます。

沖縄の秋は、台風が多く接近する季節でもあります。
【水温低下=魚の活性が上がる】
沖縄の釣り=夏を連想させますが、夏場は水温が高すぎて釣りにならない事もしばしばあります。
立ち込み釣りなどで入水すると、まるでお風呂に入っているように感じることさえあります。このような状態では魚も夏バテ気味です。

水温が下がることにより、魚が夏バテ状態から回復し、水温がより低い深場に落ちていた魚が、浅いエリアに戻るようになります。
【注意事項】
釣りを楽しむさいは自己責任で釣行お願いいたします。
台風が多い時期なので、台風が近づいてくる時や通過後の波の荒いときは釣りをしない、常にライフジャケットを着用するなど安全面は十分に行ってください。
ゴミの片づけはもちろん、漁業者や港湾の方に迷惑になる行為をしないなど注意してください。
また、たらし釣りやサビキ釣りなど様々な魚がかかる釣りでは、アイゴ類やゴンズイなどの毒魚に注意してください。
わからない魚は触らないことです。
河口周辺などではハブクラゲも多く、仕掛けに絡んだ触手を触らないようにしてください。
【小物狙いの「たらし釣り」】
初心者向けのシンプルな釣りで、 安価なセット竿で、難しいテクニックがなくても楽しめます。
小さめの釣り針、サルカン(糸をつなぐ道具)、オモリ、釣り竿とリールのみでOKです。餌はオキアミまたは練り餌を用います。
これを港湾の護岸沿いに沈めて、糸が止まったらリールを数回巻いてそのまま待ちます。
少量のオキアミや、練り餌をちぎって投げるなどして、撒き餌にすると効果的です。
この釣りのコツはできるだけ護岸沿い、かつ、底近くを狙うようにすることです。護岸沿いに泳ぐ魚は多いのです。また、海中に空洞があるような護岸は魚の隠れ家になっているので最高のポイントです。
この釣りは魚が見える場合も多いので、ファミリーにもオススメです。ただし、子供たちが夢中になりすぎて落水しないよう注意が必要です。
周辺に漁船などがある場合は、ロープに仕掛けをひかけたりしないよう、十分距離をとって釣りをしましょう。堤防の隅は有力なポイントです。
色々な魚が釣れるので、毒魚が混じることがあります。知らない魚は触らないようにしましょう。先の細いペンチ(プライヤー)を携行すると良いです。
【サビキ釣り(五目狙い)】
こちらも初心者向けでお勧めな釣りがサビキ釣りです。
県魚グルクンの小型やヒラアジ類の幼魚(メッキ)、いわゆる「熱帯魚」などが数釣りできます。様々な魚が釣れる「五目釣り」となります。
サビキは船でのグルクン釣りで使うものよりも小さいものを使います。
オモリ、サビキ、カゴ、釣り竿とリールというシンプルな仕掛けです。餌はカゴに詰めるための小さなオキアミで、ブロックで販売されています。
港湾でのサビキ釣りでは遠くに投げる必要がなく、初心者用の安い釣り竿でも十分に楽しめます。
撒き餌を片づけるため、水汲みバケツ必須です。

【サビキ釣り(ミジュン狙い)】
また、サビキ釣りの一種として、秋ごろから大型化する「ミジュン」を狙う釣りがあります。ミジュンはニシン目(イワシの仲間)の魚で、密集状態となって港湾や海岸線で群れます。

チカサビキという小型のサビキや、ミジュン用のサビキが販売されているので、これを群れの中に投げ込んで釣ることもできます。この釣りでは餌は不要なのです。
竿は磯竿ならば1号以下、ルアーロッドを使う場合もやわらかいものが良いです。硬い竿だと口切れし、バラしが多くなります。
釣り竿が短い場合は、サビキ仕掛け(通常、6本ほどの釣り針がついている)を半分に切って、3本程度にすると操作がしやすいです。
なお、おばあちゃん達が太い釣り竿に網が付いた仕掛けを投入し、餌を巻いて一網打尽にする”漁”を行っていますが、一般の人には許諾されていない漁獲法となります(おばあちゃん達は漁業権を有する漁協の方なのでOK、ということのようです)。
ミジュン釣りは釣り人で混雑するので、周囲確認をしっかり行いましょう。
【キス釣り】
沖縄ではキスは年中釣れますが、特に秋はキス釣りに適したシーズンです。特に水温が下がり始めた9月中旬ごろ、かなり良い釣りができた経験があります。
沖縄のキスは本土のものと別種で、ホシギスがメインです。その他、かなり数が減ったモトギス、西表島などに生息するアクトギスという種類がいます。

仕掛けは非常にシンプルで、キス用の仕掛け(釣り針が2~3本ついているもの)またはシンプルな1本針に、サルカン、オモリ、釣り竿とリールのみでOKです。仕掛けが絡むのが嫌な人は、「テンビン」というオモリを使うとよいでしょう。
キスは砂地の場所に生息しているので、砂浜になっている場所や川の河口に位置する港湾などがポイントとなります。有名なのは名護市の屋我地島周辺です。
餌はアオイソメまたは石ゴカイで、石ゴカイに反応が良いという場所がありますが、アオイソメばかりに当たるポイントもあります。
以前は「島ミミズ」という沖縄の海岸で取れるゴカイのような生き物が餌の主力で、かなり良い餌とされましたが、最近は取り扱う釣具店が少ないです。

一般的には砂浜から遠くに投げる釣りですが、港湾の中でも釣れる場所があります。港湾での釣りの場合は、あまり遠くに投げなくても釣りが成り立ちます。
遠くに投げる場合はそれなりに番手の大きい磯竿や投げ釣り用の竿が必要となりますが、港湾での釣りは初心者向けのセット竿でも十分釣りになります。

また、ルアー用のタックルにキス釣り仕掛けを付けて投げたり、ゴカイを模したソフトルアーや極小ワームで狙うことも可能です。
【サヨリ釣り】
美しく刺身で美味しいサヨリ狙いの釣りは、沖縄でも人気の「フカセ釣り」の延長、または、コマセを入れるカゴとウキが一体化した、サヨリ専用のウキを用いた、カゴ釣り仕掛けで狙います。

フカセ釣りは撒き餌を巻いて魚を集めると同時に、仕掛けを海流と風に流し、サヨリの鼻先まで釣り針が付いた餌を送り込んで釣ります。
一方、サヨリ浮きを使ったカゴ釣りは、磯竿で遠投して、仕掛けを直接ポイントに送り込みます。魚体に対してやや強めの竿を使い遠投重視で釣るスタイルも見られます。
水面に浮いているプランクトンを食べている魚なので、仕掛けは海面付近を漂わせるようにします。

コマセ(撒き餌)にはオキアミのほか、軽いパン粉などが用いられているとのことです。刺し餌はオキアミです。
この釣りはミーニシ(新北風)など一定の風が吹く日に、風を背に受けながら釣るようにすると効率が良いようです。
【シガヤー釣り】
シガヤーまたはウムズナーなどと呼ばれる、手の長いイイダコのような小型のタコ(ウデナガカクレダコ)を狙う釣りです。

沖縄のタコ類は多くの海域で漁業権設定されていますが、ウデナガカクレダコについては、一般の人も取ることができます。
https://www.pref.okinawa.jp/site/norin/suisan/gyogyo/gyogyouken.html
一般的には、 ウデナガカクレダコが好む貝殻をロープにつないだ仕掛けをカウボーイのように投げ入れ、貝殻に抱き着いてきたウデナガカクレダコを素手でつかみます。
なお、背中に抱き着く(おぶられる)ことを沖縄の方言で「しがる」と言うので、「(貝に)しがる者」の意味で、シガヤーと呼ばれているのではないかと思います。

専用の仕掛け以外に、小さなエギで釣る方法や、海底に化けているウデナガカクレダコを目視で見つけて、手づかみする方法もあります。
【ライトルアーゲーム】
沖縄においてライトルアーゲームは年中楽しめますが、最も楽しめるのは秋です。メッキ(ヒラアジ類の幼魚)の新子が大きくなり、また、初夏に生まれたベイトフィッシュが成長する時期なので、水温低下と相まってあちこちで活性が上がります。

特にポイントは河口周辺や河川内で、メッキを中心にクロダイ類、ハタ類、カマス、ゴマフエダイなど様々なターゲットを狙うことができます。

河川内における主なベイトフィッシュはコノシロ(コハダ)のなかまのドロクイ類で、日に日に大きく成長します。コノシロやドロクイ類の英名はギザードシャッドで、プラグではシャッドが有効な季節です。もちろん、シャッド以外にも小型のポッパーやソフトルアー、スプーンなども有効です。

ルアーをあまりえり好みしない季節なので、ルアー初心者の方には特におすすめの季節が秋と言えます。
また、拙著「ラッキーキャッツルアーフィッシングスクール」では、沖縄のルアーフィッシング、特にライトゲームについて紹介しておりますので、こちらもご参照ください。
【オニヒラアジ】
メッキと呼ばれるヒラアジ類は大型化しますが、その中でもアベレージ3kgクラスで狙って釣れる種類はオニヒラアジです。

夏場は明るい時間にミズスルルなどのマイクロベイトにつく「シラスパターン」と、体長10cmほどのミズンに付く「ミジュンパターン」、またはその複合というケースもあります。
ミジュン、シラスの融合ナブラは稀ですが、昼間捕食されやすいシラスのナブラが朝夕のマズメ時がナブラ発生のメインとなるミジュンに”誘爆”するので、最高のナブラが出ます。
シラスパターンは初夏から釣れ始めますが、ミズスルルが秋ごろに体長7~8cmに達するためルアーにマッチさせやすく、また、南方系で特に大きくなるイトウオニヒラアジが回遊することもあります。ミズスルルが見られるのは概ね11月頃までです。

ミジュンパターンは群れが大移動する朝方と夕方がチャンスで、昼間はかなり厳しいです。いずれも喰っている小魚にマッチさせることが重要です。ミジュンは11月ごろまでに最大サイズに達し、その後は産卵に向けてエネルギーを蓄えると言われています。
関連記事: https://tsurico.com/2017/11/09/mizyun/

この釣りは事前情報とポイントに入れるかがキモとなります。場所取りトラブルが絶えない釣りなので、この釣りを避けるルアーマンもいます。
【磯のシイラ釣り(上級者向け)】
ミーニシが吹き始めると、本州近海を回遊していたシイラが南下し、沖縄本島付近を通過するようになります。向かい風を受ける水深のある荒磯で、シイラを狙うことができます。

本州のオフショアのシイラと違い、かなり簡単に喰ってきますが、ボート用のシイラタックルでは無理で、少しライトなGTタックルが必要となります。
というのも、釣り場にはシイラ狙いの釣り人が多くいることや、サメに横取りされるので「よりライトなタックルでファイトを楽しむ」という釣りはできないのです。ヒットしたら、いち早くランディングに持ち込む必要がある釣りとなります。
ルアーに関してはあまりえり好みしません。キャスティング用のジグで釣る人もいれば、大型のペンシルベイトを使う人(私もペンシル派です)もいます。
ジェット天秤にフックを付けただけのもので釣る人もいます。

この釣りで最も大事なのは気象条件と安全装備で、シイラの接岸には向かい風が必須ですが、あまりにも風が強いと波が高く危険です。
天気予報や現地の波を確認することと、万が一落水した場合に問題がないライフジャケット(浮力材タイプ)、スパイク靴などが必須となります。ライフジャケットは自動膨張式では、岩にすれて破れるおそれがあります。