Release: 2019/03/25 Update: 2020/09/26

沖縄の潮干狩り。何が獲れるか。

こんにちは。モソです。

沖縄は旧暦3月3日に女性が身を清める行事「浜下り」が行われます。

現在は海で遊んだり、潮干狩りする日として知られています。

そもそも、沖縄の潮干狩りでは何が獲れるのでしょうか?

【安全装備をしっかりと】

周囲を海に囲まれている沖縄ですが、海は危険がいっぱいな場所でもあります。

毎年のように海の事故、死者が出ています。

海遊びをして怪我をしたり、亡くなってしまっては悲しすぎます。

よく見かける潮干狩りスタイルは、Tシャツ短パン、島ゾウリというスタイルですが、これははっきり言ってNGです。

最低限、濡れても良い靴に長ズボン。

あるならばラッシュガードや厚めのタイツを履くか、ゴム長(ウェーダー)を着用します。

推奨する服装(左)

海岸には猛毒のハブクラゲやカツオノエボシなど危険な生き物がいるのです。

また、必ずライフジャケットを着用します。

釣具店で安いものは3千円程度、子供用なら2千円弱で購入できますので、さほど高いものではありません。

特に親子で潮日狩りに行く人ほど、ライフジャケットを必ず着用いただきたいと思います。子供は判断力が低く、思いもしない行動に出ることがあります。

また、親は貝を獲ることに夢中になり、子供から目を離しがちです。ライフジャケットを着用していれば、死亡事故のリスクを減らせるのです。

子供用ライフジャケットは安い。

股紐付きのタイプは、着用時は必ず股紐をつけましょう。

股紐を着用しないと落水時にすっぽ抜けて、未着用時よりも危険です!

また、軍手などがあると良いです。爪の間に砂が入ると、地味に痛いものです。

熱中症対策の帽子や飲み物を忘れずに。あと、事前のトイレも。

【無理をしない。天気と潮をチェック】

せっかくの日曜日。家族で楽しみにしているという方も多いかもしれませんが、無理は禁物です。

一番気をつけないといけないのは天候です。天気予報が少しでも悪くなりそうなら、行かないという選択肢もあります。雨の中、潮干狩りしても楽しくないですよね?

また、旧暦の2月ごろに吹く「ニングワチカジマーイ」という春の嵐は、プチ台風であり非常に危険です。天気が悪くなりそうと思ったら、予定をキャンセルしたり早く引き上げるのが吉です。

海岸には逃げ場所がないので、落雷などが始まってしまうと最悪です。

大潮の日は潮の干満が大きく、流れが速くなります。あっという間に満ちてきますので、「潮止まりとなったら撤収」くらいの気持ちでよいと思います。

すぐに撤収できる位置にいる人なら問題ありませんが、リーフの先まで行きたい人は注意が必要です。

気象庁 潮汐(那覇)

https://www.data.jma.go.jp/gmd/kaiyou/db/tide/suisan/suisan.php?stn=NH

【使っても良い道具(ダメな道具)がある】

沖縄県漁業調整規則では

・集魚灯を用いない手釣り、竿釣り

・素手

・タモ網、投網、叉手網

・やす(発射装置のないモリ)、は具(熊手、スコップ)

のみとなっています。


https://www.pref.okinawa.jp/site/norin/suisan/index.html

本やウェブなどではペットボトルを用いた仕掛けが紹介されていたり、釣具店ではカニ籠などがセール品として販売されていますが、これらは一般の人が許可なく使用することができません。

これらの道具を夏休みの自由研究等で使用する場合は、予め漁協等に許可を得ておいたほうが良いです。

潮干狩りにおいては「やす」「は具」「ばけつ」のみで十分可能です。釣りをしたい人は釣具も持っていきます。

【獲ってはいけない生き物がいる】

沖縄においてはサンゴやウミガメの捕獲は一切禁止(罰金200万円→1千万円)

その他、漁業権(第一種共同漁業権)で保護されており、一般の人が取れない海産物がいます。

これは各地の「海区」によって違いがあります

【海藻類】モズク、アオサ、ヒジキ(一部海域を除く)

【貝類】アワビ、サザエ、シャコガイなど(沖縄市漁協の海区では、「リュウキュウサルボウ(赤貝)」も対象。)

【その他】食用のウニ、イセエビ(漁師も禁漁期間があり)、食用ナマコ、ウデナガカクレダコを除くタコ類

となっています。

「個人的だから問題ない」「みんな獲っている」などと言う人もいますが、共同漁業権侵害となり、密漁に当たってしまいます。

漁業者に訴えられたり、海上保安庁に検挙されると、ほぼ間違いなく罰金刑(現在は罰金20万円→100万円に引き上げされるとのこと)となってしまいます。

これまでの判例でも「知らなかった」などの理由が通用したケースは少ないと聞きます。↓わかりやすい動画↓

そこまでリスクを負ってまで獲って食べるものではないかなと個人的には思います…。

また、沖縄県では漫画で漁業権の解説を行っています(外部リンクPDF)


https://www.pref.okinawa.jp/site/norin/suisan/index.html

上記以外の貝類(アサリ、ハマグリ類、アラスジケマンガイ、ムール貝など)は、現在のところ特に規制がないので、持ち帰っても問題ないとのことですが、資源保護のため小さい個体はリリースしましょう。

ムール貝はポイントがわかれば大量に獲れる。

【ヤスをセンサーとして活用する】

ヤス(モリ)は先端が尖っていて危険なので取り扱いに注意が必要です。

これは獲物を突くことよりも、移動時の杖の代わりに使ったり、砂を刺すことで貝類を探せます(振動を与えると潮を吹くので、貝の場所がわかる)。

ヤスの先がナメるので良くないという意見もありますが、ヤスで魚などを突くことは想定していなのです。

ちなみに、ヤスで突けるほど魚に近づくには、経験とセンスが必要です。漫画のように上手くいきません。

【熊手の扱い】

熊手は必ず手の甲を上に置きます。

手の平を上にすると、誤って踏んだときに大変危険です。

熊手の置き方。爪を上に向けると危険。

熊手はバケツに入れておくのも良いでしょう。

私は某アメコミのキャラのごとく、熊手を両手に持ち、腰をかがめてバックして広い範囲を掘り起こします。

一度掘り起こして「耕した」状態になった場所を歩いて、貝類を探します。

深く掘らなくてもよい。

砂にまみれていますが、目を凝らすと掘り起こした貝類が転がっているのがわかると思います。

この方法では貝類だけではなく、サイマキという小型の車えびも取れます。サイマキも捕獲しても特に問題はありません。

【獲った貝類を食べる】

潮日狩りポイントとなっている泡瀬干潟では、リュウキュウアサリやアラスジケマンガイ、沖の藻場へ行くとムール貝などが取れます。小さいものはリリースしましょう。

ムール貝は藻場に多い。

また、ハボウキガイという水質の綺麗な場所を好む貝(水質浄化の役割を果たす)もいますが、身が小さいうえ美味しいものでもないので、獲らずに残しておくことをオススメいたします。生のハボウキガイは食中毒を起こすそうです。

貝類は海である程度洗っておき、持ち帰る直前に水を別途汲んで持ち帰ります。

薄いバット(100円均一で売っているものでよい)に並べて、貝類が浸るくらいに海水を入れて、砂抜きをします。ムール貝は特に潮抜きする必要はありません。

食べる直前に水道水でよく洗います。

酒蒸し、汁物、アクアパッツアやパエリアにして美味しくいただきます。

パエリアの具になりました

【ポイントについて】

沖縄の海は珊瑚礁の白い砂浜のイメージが強いですが、白い砂浜のポイントには潮干狩り向きの獲物は少ないです。大潮の干潮時にリーフへ繰り出すことで潮干狩りを楽しむことができるものの、シャコ貝(漁業権設定及び体調制限がある)など、獲れない獲物が多いのです。

また、白い砂浜で透明度が高い海岸は栄養が少ない海なので、思ったほど潮干狩りらしい獲物が取れなかったりします。

駐車場がない場所も多いため近隣に迷惑とならないよう、公共交通機関を利用するなどが必要です。

一部更新:2020.5.10

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