これから始める沖縄リーフの立ち込み釣り:ウェーディングを解説!
こんにちは。モソです。
旧暦3月を目前に、夏の潮に変わるタイミング。
沖縄ならではの釣り「リーフ釣り」をご紹介します。

【夏の潮、冬の潮】
月と太陽の引力や遠心力によって潮の干満、大きく潮が上下する「大潮」やその逆の「小潮(長潮・若潮)」があることは釣り人の方はご存知と思いますが、夏場と冬場では潮の引き方に違いがあります。
冬場の大潮は夜間に大きく潮が引くので、イジャイ(漁りの意味だが、差別用語に当たるとされており、沖縄方言読みで表記されるのが一般的になった)という
夜の潮干狩り が行われています。
一方、旧暦3月3日の行事「浜下り」の時期から、昼間に大きく潮が引く夏の潮に切り替わります。
沖縄といえど冬は寒いので、亜熱帯の魚は冬場は水深20m以深で落ちていますが、気温と水温の上昇により、沿岸へ魚が戻るようになります。
釣り人に狙われていないフレッシュな個体群になるので、釣りやすいというメリットがあります。
【かなりの危険を伴う釣りと理解する】
海に囲まれた沖縄では浜下りなどの行事を通し、ポイントとなる砂浜やサンゴの海(リーフ)は身近な存在でもありますが、自然に足を踏み入れることは危険を伴うということを理解しなくてはなりません。
大潮の日は潮が大きく引きますが、同時に大きく満ちます。
潮の上下が大きいということは、潮の流れが速くなるということです。高低差のない川はゆるやかですが、高低差がある川は急流になりますね。これと同じ原理です。
砂浜やサンゴに立ち込んでの釣りは、「潮止まりになったら撤収」が大原則です。
特に浜下りの時期は「ニングワチカジマーイ(二月風廻り)」という小型低気圧、いわゆる春の嵐が通過する季節でもあり、急に荒天になることもあります。実際に浜下り中にカジマーイに巻き込まれたために発生した死亡事故もあります。
十分な気象条件のチェックと、安全装備をしましょう。
実は筆者も先日、リーフでニングワチカジマーイに巻き込まれて怖い思いをしました・・・反省。
【装備は十分に】
海には気象や潮汐を注意すればよいというわけではありません。それなりの装備が必要となります。

①ライフジャケット
着ていない人が多いが、ライフジャケット着用は当たり前の装備。釣りの死者で最も多いのは溺水で、ライフジャケットは溺水のリスクを減らします。安いものでも良いので必ず着用しましょう(大人用はポケットつきのものが3000円くらいから、子供用は2000円以下で購入できます)。
②ウェーダー
短パンに島ぞうりで入水する人が多くいますが、はっきり言ってNGです。沖縄の沿岸には刺されるとミミズ腫れになって激しい痛みを伴うハブクラゲや、海の対人地雷オニダルマオコゼが生息しています。オニダルマオコゼはアナフィラキシーショック(一種のアレルギー症状)によって死者が出た事例もあります。完全に防げるわけではありませんが、ウェーダーを着用することにより危険生物からのリスクを低減できます。ウェーダーはフェルト底が滑りにくい印象なのでオススメです。厚底の靴にラッシュガードや厚手タイツという装備も、ある程度有効と思います。ウェーダーはセール品で3000円程度から。

なお、「ウェーダーの中に水が入ると、動きにくくなり危険・・・」などという話がありますが、風船を履いているような構造なので足元に浮力をもつため、ひっくり返った時に立ち上がれない(呼吸ができなくなる)が危険だと思います。釣りや潮干狩りにおけるウェーダー着用者でライフジャケットを着用しない人を見かけますが、ウェーダー着用者こそ、ライフジャケットは必須アイテムだと思いますよ。
③飲み物
海の危険で忘れがちなリスクとして、脱水症状があります。特に日差しの強い沖縄においては十分な水分は必要です。また、水に立ち込む前にトイレを済ませて、体調を整えておきましょう。
④帽子と長袖、日焼け止め
沖縄の夏は本土に比べて気温が低く「むしろ避暑地」などとも言われますが、太陽光は強烈です。日焼けは「日火傷」となり、かなりの痛みを伴います。つばの広い帽子、薄手の長袖着用がオススメです。日焼け止めはサンゴに影響のないものを選んでください。
⑤偏光サングラス
太陽光や照り返しから目を守ります。価格によって性能に差がありますが、特に有害な紫外線をブロックするレンズのものを選んでください。偏光サングラスは地形の変化や魚影の確認にも役立ち、仕掛けやルアーからの目の保護にも使えます。医師に相談のうえ、専門店で購入されることをオススメいたします。

肌の露出を避けることを優先する。
【リーフ釣りのポイント】
沖縄県内には多くのポイントがありますが、自然海岸の消失(埋め立て)により楽しめるポイントが少なくなりつつあります。

私がオススメなのは沖縄本島南部の新原ビーチで、駐車場(有料)からも近いです。また、手漕ぎボートの釣りも楽しめます。
また、寄宮フィッシングセンターさんでは離島のリーフへの渡し舟も行われています。船代は手軽ではないかもしれませんが、ほぼ手付かずのポイントで釣りが楽しめるのでオススメです。
特に釣り人の乗船が多いので、出船のときにコミュニケーションをとってついていくのも方法です。良い釣り人は色々教えてくれるでしょう。
なお、この釣りは特に、知らないポイントでは危険が伴うので、できればポイントに詳しい人と一緒に釣行するのがベストです。
【足元・周囲を確認すること】
釣りをしていると仕掛けや獲物ばかりに目がいきがちですが、周囲に目配りすることも釣り人のスキルだと思います。
特に移動中は足元を確認します。沖縄の海、特にリーフまわりは透明度が高いので、浅いように見えて深いので、下手に立ち込まないようにします。

また、オニダルマオコゼなどの危険生物も、よく目をこらせば察知できる可能性があります。

写真提供:ぼびぃさん
安全装備としてウェーダーや厚底の靴を履いているから大丈夫というわけではなく、足を踏み込むときはゆっくり優しく移動するのが鉄則です。
気象条件においても天気予報を過信せずに、現地で確認することが重要です。これを観天望気と言います。

【獲ってはいけないもの】
沖縄の殆どの海岸線においては漁業法(及び漁業調整規則)により、一般の人が獲ってはいけない生物及び海産物があります。
サンゴやウミガメはそもそも獲ってはいけない生き物なので罰金200万(1千万に引き上げ)。
モズクやアワビ、シャコ貝、サザエ、ウニ、イセエビ、一部のタコなどは第一種共同漁業権の侵害となり、罰金20万円(100万円に引き上げ)の罪に問われます。(イセエビなどは漁業者などでも禁漁期間があります)
「個人的に食べる」「少しだから良いだろう」などと甘く見ている人も多いのですが、これらは密漁扱いとなります。漁業者から訴えられたり海上保安庁から検挙されれた場合、これまでの判例では、訴えられた側はほぼ負けていると言われています。
沖縄県水産課 PDFパンフレット
https://www.pref.okinawa.jp/site/norin/suisan/documents/rule_manner.pdf
欲張らずに、捕獲しても問題ない生き物を取りましょう。また、小さな魚や獲りすぎた魚はリリースを。
【サンゴを踏まないように】
沖合いに進むと、徐々にサンゴが増えていきます。

沖の隆起しているところは岩。
白い部分は砂地になっている。
特に最干潮時のリーフ先端は、足の踏み場もないほどサンゴが繁茂している場所があります。そういう場所には立ち入らないのが、釣り人としてのマナーです。
また、サンゴが繁茂するリーフエッジはいかにも釣れそうに見えますが、実際そこまで行かなくても魚は釣れますのでご安心ください。
また、リーフエッジはザクザク根になっているので、掛けても取れない場合が多いです。バラした魚に付いているルアーやショックリーダーは、ゴミになってしまいます。
【主なターゲット】
主なターゲットはイシミーバイと呼ばれるカンモンハタや、インリーフ内で見られる高級魚タマン(ハマフエフキ)です。


それ以外にも魚種が多く、オジサン(ヒメジ類)やムラサメモンガラ、多種多様なハタ類、マトフエフキやイソフエフキがターゲットとなります。




タックルを絞る。
立ち込む釣りでは釣り竿を何本も持っていくわけにいかないので、信頼できるタックル一本に絞ります。
私のオススメはエギングロッドを代用することです。
バット(竿尻)にコシがあるので多少大きな魚とファイトできるうえ、軽いルアーから20g以上のルアーまで投げることができます。ショックリーダーのみ太いもの…20ポンド以上を結びます。
エギングロッドをベースに、タマンなど大型魚狙いならそれ以上にヘビーなものを、イシミーバイなど小物釣りに徹するなら、よりライトなものを準備すると良いと思います。
あと、海フライも結構面白いです。

【オススメのルアー】
沖縄においては以外にも小さなベイトが餌となっていることが多く、GT大型ロウニンアジ)狙いをするつもりでなければ、10cmを超えるルアーは不要と思います。
特にリーフまわりで釣りをするのであれば、7cm以内で十分で、5cmくらいのルアーが最も活躍します。

浮力が高くよく潜る。
私がオススメなのでよく潜るフローティングのクランクベイトやシャッドです。フローティングなのによく潜るというのは相反するように見えますが、強い浮力により安定した姿勢を保つルアーは、リップがしっかり水を掴むので深くもぐります。止めれば浮かぶので、根掛かりせず釣りを楽しめます。
飛距離は出ませんが、砂浜に近いポイントにあるハマサンゴなどの影を狙うさいにかなり有効です。目視できる距離で使うので、もぐりすぎたら止めて、根掛かりしないように泳がせます。
キノコのようなハマサンゴは中が空洞になっている事もあり、良型のイシミーバイのポイントになっています。ハマサンゴの向こう側までルアーを投げて、周辺でアクションをつけて躍らせれば、中に潜んでいたイシミーバイが飛び出してヒットします。
また、射程が必要な場所では、沖縄のアングラーが製作/プロデュースする「蛙スプーン」「APOON!」などのスプーンがオススメです。シルエットが小さく沖縄のベイトフィッシュにマッチしており、飛距離も出ます。価格が安いのもいいところです。私はスプーンはあまり使いませんが、使っている人が言うには、リールを巻いている時だけではなく、沈める時(フォール)にも喰ってくるとのことです。

どうしても活性が低いときは、エビやカニを模したソフトルアーも有効です。沖縄の浅瀬に住む魚達はいつも都合よく魚を食べているわけではなく、底性生物を食べていることが多いのです。
多く検出されるのはカニ、エビ、ハゼ、シャコなどで、これらのルアーを使うポイントは、根掛かりしない砂地に投げて、しっかり着底させて2秒ほど待つことです。サンゴや藻に隠れていたターゲットが飛び出して拾っていきます。(カニやエビって、ずっと泳ぎまわらないですよね?止めることも含めてアクションです)
腕に覚えがある人は小型のトップウォーターも面白いです。あまりにも浅くなると、トップウォーターじゃないと釣りにならない場所もあります。
なお、リーフの釣りに関しては、下記の書籍もご参照いただけますと幸いです。
