Release: 2017/08/21 Update: 2019/12/11

【釣り】沖縄でフライフィッシングを楽しむ!

こんにちはモソです。

今日は沖縄においては少々マニアックな釣り「フライフィッシング」について、へたくそなりの経験をお話いたします。沖縄でフライフィッシングをやってみたい人や、遠征をされる方の参考になれば。

オオクチユゴイ

そもそもフライフィッシングとは

全くわからない人のために解説しておくと、西洋毛ばりを使った釣り全般のことです。

日本にも伝統的な毛ばりがありますが、フライラインを使って「キャスティング(投げる)」ができます。

フライラインはリールに納められており、ラインの長さを伸縮させられます。

フライタックル。シングルハンドはリールが後ろに付いている

投げる原理は一般的なリールを使ったものとは多少原理が違い、リールを使った釣りでは仕掛けやルアーの重さで投げますが、フライフィッシングはラインの重量とラインが伸びようとする力(ループ)で遠くに飛ばすイメージです。

金魚からカジキまで釣れる

フライフィッシングで何が釣れるの?と聞かれることがありますが、深海魚以外はほとんど釣れるのではないかと思うくらい幅広いターゲット層を持つ釣りです。

フライフィッシングにはルアーや磯竿のような番手があり、小物を釣る為の1番(#1)からカジキまで釣れてしまう大きな番手(#15)まであるそうです。

魚の食性さえわかっていれば、工夫次第でさまざまなフライ(毛ばり)を作ることができるので、テレビで見るように虫を真似て渓流で投げることも、ナブラ(魚群)にマッチさせて回遊魚を狙うことも、パヤオでキビナゴを撒いて、キビナゴフライを同調させてマグロを狙うことも可能なのです。

へたくそなりに巻いたソルトフライ・・・釣果は聞かないで

【沖縄はターゲットはいるが・・・】

亜熱帯気候の沖縄においてはフライフィッシング天国とも考えられます。しかしながらフライで釣るという人は稀です。理由は下記のとおりが考えられます。

・タックルがほとんど売っていない

・敷居が高い(タックルが高価で複雑)

・教えられる人が少ない

・風が強く不向き

・情報が少ない

最近は友人たちの間でフライ熱が上がっており、キャスティングやタイイング(フライを作る)を楽しむ動きがあります。

タックルや材料はもっぱら通販で、以前より安く購入できるようになったのでトライしやすくなりましたが、まだまだ複雑怪奇な世界です。

近年は沖縄にもフライタックルを扱いレクチャーしてくれるショップもできたようです。

【タックル以外に必要なツール】

フライフィッシングで楽しくもあり厄介なのは「フライタイイング」です。つまりフライを作る(巻く)作業です。

フライを撒くのがめんどくさいという方はフライフィッシングの楽しみの半分を捨てたようなものであり、また、完成版フライも通販に頼らざるを得ないので、沖縄で楽しむならフライタイイングは必須といえます。

最低限必要な工具や材料としては

(工具)

・バイス(フックを固定してフライを巻く台。ジギングのアシストフック作りにも使える)

・ボビンホルダー(糸こま・・・ボビンを固定する工具。ジギングのアシストフック作りにも使える)

・ハックルプライヤー

・ハサミ(シザースという)

(材料)

・ハックル(鳥の羽の塊。フライを本格的にやるなら必須。1束5千円前後・・・中古を探すのも手)

・ダビング材(繊維くず)

・エルクヘアまたはディアヘア(淡水をやる場合)

・DCD(アヒルのお尻の羽 淡水をやる場合)

・フライフック

・マイラーチューブ(ソルトでよく使う素材)

はタックルとともにまとめて購入したほうがいいと思われます。

左:バイス 右上ボビンホルダーとスレッド(というかミシン糸) ハサミ(シザース)

ハックルと呼ばれる鶏の羽の束。主に右側(首周り)の細い羽を使う。

意識高い印象を受けるフライフィッシング用品はやたらと高価なものが多いですが、バイスとハックル、ボビンホルダー以外は他の釣具や工具で代用できます。

ボビンホルダーは少し大きな県内釣具店でも普通に扱うようになりました。

その他ライフジャケットやプライヤ、帽子、滑らない靴またはウェーダーなど釣りに必要な装備は必要です。

(フライフィッシャーの方にはライジャケ着用者が少ないイメージがありますが、水難事故を防ぐ大事なツールです。ライフジャケットまたは代用できるツール・・・自動膨張の浮環などを装着しましょう)

【代用できる材料や工具】

フライフィッシングにおいてはバイスやハックル、ボビンホルダーなど専用工具や材料が向くものもありますが、工夫次第で代用できるものもあります

(専用品のほうが使いやすいと思いますが…)

・スレッド(巻き糸)・・・ミシン糸(専用品が地元で売っていないのでシャッペスパン60~90番などを使っています)

・シザース・・・百均の美容コーナーのものでも可。私は刺繍用の反り刃のハサミを使っています。

・ハックルプライヤー(ハックルを巻くときに使う工具)・・・小さいクリップや逆作用ピンセットで

・ルアータックルのちょい釣り用フック・・・環付きのフックなら何でも。ドライフライ用ならキス釣りのような細くて長いものが良い。

・瞬間接着剤・・・フィニッシャーなどの工具を使わず巻きとめる場合。つまようじなどでごく少量を結び目へしみこませる。

・その他材料・・・百均や釣具店、手芸店で「これぞ」と思ったものを調達。

なお、モソの本業(刺繍)の知識から手芸店で手に入るマテリアル(素材)を申し上げると「ウイリー」は「ウーリー糸(ニットなどを縫うときに使う)」「マラブー」は「マラボウ」という名称で扱われています。

【沖縄の気候とフライフィッシング】

沖縄は亜熱帯なので、さまざまな魚が生息しており多くがフライフィッシングのターゲットになります。

ただし未開拓な部分も多くあるためか、一部のベテランの方が楽しんでいるマニアックな釣りというイメージがあります。

また、沖縄=ビッグゲームのイメージがあります。たしかに出るとデカいし引きが強いです。

しかしこれは昔の話で、ルアーであれ餌であれハイプレッシャーであります。

主なフィールドとして考えられるのはソルトウォーターですが、多くの場合風に悩まされます。沖縄は好天の日が日本一少なく、無風の日が少ない土地なのです。

沖縄においては引きの強い魚がヒットするため、強い#8以上のフライタックルが必須のようなイメージがありますが、風に抗ってキャストするという意味もあるようです(たぶん)。

ルアーでの釣果ですが、こういう魚もターゲットに。

カニ型のソフトルアーだったのでカニフライ?とかどうでしょう。

沖縄ソルトフライの代表的なターゲットとしては、ヒラアジ類、ハマフエフキ(タマン)などのフエフキダイ類、リーフを中心にハタ類、パシフィックターポン、マングローブエリアのゴマフエダイなどです。

ベテランの方は遠征して狙ってみてはいかがでしょうか?

【初心者にいきなり#8はつらすぎるやろ…】

#8(8番)タックルはそれなりに重量があり、いきなりこのタックルからはじめるのはまるで修行のようです。

私は地元の釣具店で#3を購入しました。ローカルのフライフィッシングの先輩方からは「沖縄では役立たずのタックル。騙されてるw」と小ばかにされたことがありますが、腱鞘炎に悩まされているので軽いタックルほど投げやすくて助かっています。最近フライをはじめた友人たちは#4からはじめているようです。

諸説ありますが4~5番あたりから覚えると、操作の感覚をつかみやすいらしいです。

ルアーフィッシングを楽しんでいる身からすると不思議な感覚なのですが、フライは軽ければ軽いほど投げやすいです。ソルトではフライを沈める必要も多くあるため、重りを足すこともありますが、重いフライはキャスティングがしずらくなります。フライの重さをフライラインの重さでカバーするイメージになり、つまりソルト=そこそこヘビーなタックル=ベテラン向けでなのです。

なお、友人のベテランの方のお話では、ソルトでは極力ポイントに接近してロールキャスト(一番簡単なキャスト。射程は短いがちょっとした練習でできる)で釣る方法でも釣果を上げているとのことですので、絶対に遠くまで投げないといけないわけではありません。

キャスティングを教えてくれる人は沖縄に少ないので、まずは動画を見て勉強してみましょう。

(こちらのページ良いですね)

http://www.honda.co.jp/fishing/skillup/flycasting/

沖縄フライ初心者向けの釣り「渓流ドライフライ」

画像提供:ABU500CLUB沖縄支部

ではフライ初心者が沖縄で楽しめないかというと、手軽な#4前後で遊べるベストなターゲットがいます。

沖縄の渓流魚ユゴイです。

沖縄にはオオクチユゴイ、ユゴイ、ギンユゴイの3種類が生息しており、ギンユゴイを除く2種類は渓流を遡ります。昆虫も食べるので本土の渓流のフライフィッシングのような釣りが楽しめます。

渓流の対象魚ユゴイ。よく釣れる。

このうちユゴイという魚が昆虫食の傾向が強く、ドライフライ(ルアーで言うところのトップウォーター)で狙うことができます。渓流を釣りあがります。

オオクチユゴイのルアー釣りは沖縄でもメジャーとなりつつありますが、フライならばルアーの10倍くらいアタリがあります。何よりトップウォーターなのでアタリが見えて楽しい!

画像提供:ABU500CLUB沖縄支部

主なフライはエルクヘアカディスやパラシュートフライなどオーソドックスなフライで12番くらいのフックを使った大きいサイズでもボコボコ当たります。沖縄の冬は比較的暖かいので年中昆虫がいるため、テレストリアル(陸生昆虫)を意識したフライでも十分に釣りが成り立ちます。なのである種やさしいフライフィッシングと言えます。

ただしこれは北部の緑豊かな渓流の話です。

ユゴイは都市部にもかなりの数がいますが、主に捕食しているのはユスリカ(ミッジ)です。ということでミッジフライ(#18以上の番手・・・番手が大きくなるほど小さいフックになる)の出番になります。

ポイントは流れ込みのあるフチで、よく観察すると「ピチャ」っとユゴイがライズします。

ユゴイは大きくても30cmほどで、都市河川では15cm前後がターゲットになります。

オオクチユゴイのルアーフィッシングは1つのポイントで3キャストまで。すぐにスレてしまいますが、フライなら同じ場所で待機して、ライズ(水面での捕食行動)が出たら再びキャストということも可能です。

自作の都市河川ミッジフライ。水面に立たせるイメージで、よく出ます。

ドライフライとルアーとの違いは、フライに抵抗をかけない「ドラッグフリー」の釣りということにあります。

フライやフライラインに抵抗がかかると、張力で水面に浮いていたフライが水に沈み、水を吸って浮かなくなるのです。上流へ釣り上がることで抵抗の影響を最低限にできます。

私はドライフライの釣りを「トップウォーターフカセ釣り」とたとえています。

※渓流フライは増水とハブに注意しましょう!

河川渓流にたくさん居る外来魚ティラピアもターゲットに

【沖縄でボーンフィッシュは釣れるか?】

(2019.12追記)

亜熱帯・熱帯気候でのフライフィッシングといえば「ターポン」「パーミット」「ボーンフィッシュ」などが有名ですが、沖縄にも「イセゴイ(パシフィックターポン)」「マルコバン」、そして「ソトイワシ」が生息しています。

ターポンは小さなベイトが群れている場所でライズする様子を観察できます。

また、マルコバンは小型のものが、砂浜の波打ち際でルアーで釣れています。それぞれフライフィッシングで狙うことが可能です(私もイセゴイをフライで釣ったことがあります)。

ボーンフィッシュことソトイワシについては、沖縄本島の砂地や藻場に生息していることが確認されており、私も餌釣りで釣ることができました。

ただ、海外のフライフィッシングのような浅瀬に生息しているわけではなく、概ね水深3~5mの海域で、砂地または薄い藻場で釣れています。

射程を稼ぐことができ、水深3mまで沈めることのできるタックルやラインを用いれば、ブラインドで狙うことができるかもしれません。

【その他の情報は】

また、ユゴイ類の特性や生態については、現在しまこみで連載中の「ラッキーキャッツルアーフィッシングスクール」でも紹介していますのでこちらも参考にされてみてください。

KINDLEで配信している第1巻(~8話)はメッキ釣り、9話以降は一部無料で配信しオオクチユゴイや沖縄渓流事情について紹介しています。応用の効く情報が多数掲載されていると思いますよ。

【沖縄本島のフライフィッシングなら】
http://swinging.co.jp/